3Dレーザースキャナーは対象物を立体的にスキャンできるものです。平面のみをスキャンする2D(2次元)ではできないことが多々ある一方で、3Dレーザースキャナーでも計測できないものがあります。
3Dレーザースキャナーを検討している方は、計測を検討しているものが計測できるのかどうか、チェックしてください。
3Dレーザースキャナーとは、計測対象物にレーザーを放出することで、対象物を立体的に捉えることができるスキャナーのことです。放出されるレーザーの数が多ければ多いほど、より細かく対象物を計測できます。点群による立体的なデータは、レーザーの反射時間から計測対象までの距離・角度で導き出す仕組みです。
また、内蔵されているカメラで撮影することで、レーザーによって取得した点群データに着色し、より分かりやすい3Dデータを作りだします。使い方次第で、1カ所からでは計測できない対象物の裏側の測定、あるいは広範囲なエリアなどのデータ取得が可能になります。より多くの対象物のスキャンが可能になります。
3Dレーザースキャナーは対象物の立体的な計測が可能ですが、中には計測できないものがあります。3Dレーザースキャナーの導入を検討している方は、対象物が3Dレーザースキャナーで計測できないものに当てはまるのかを確認しておきましょう。
対象物が黒い物体は、3Dレーザースキャナーでは計測できません。お伝えしましたように、3Dレーザースキャナーはレーザーを反射させることで対象物の形を捉えます。
反射されて戻ってくる時間を元に、大きさを把握するシステムの3Dレーザースキャナーにとって、レーザーの光を吸収してしまう黒い対象物は、正確なスキャンができません。対象物すべてが黒いものはもちろんですが、部分的に黒が含まれている場合、黒い部分の正確な計測はできない可能性もあります。ただし、あくまでも表面的に黒いものが計測できないだけです。
例えば黒い対象物に異なる色のシート等を付着することで計測できるようになります。シートの厚みも計算する必要がありますが、黒い対象物は3Dレーザースキャナーはそのままでは計測できない点を覚えておきましょう。
鏡も3Dレーザースキャナーでは計測できません。鏡は「鏡面反射」といわれる、反射しすぎてしまう状態となります。3Dレーザースキャナーから発射されたレーザーは、本来対象物の距離で計測するのですが、鏡の場合距離を問わずに反射させてしまうため、レーザーの反射時間に狂いが生じます。
こちらも黒い対象物同様、全体が鏡のものはもちろん、部分的に鏡が含まれている場合、鏡部分の正確な計測ができません。シートで覆うなどして、レーザーを反射させないようにすることで計測が可能となります。
3Dレーザースキャナーは発射するレーザーが反射する時間によって対象物を計測するシステムです。つまり、対象物からの反射が期待できないものは計測できません。透明な物体が3Dレーザースキャナーで計測できないのはそのためです。
3Dレーザースキャナーから発射されたレーザーが反射することなく通過してしまうため、正確な計測ができません。シートを覆うか、あるいは水溶性で後に洗浄できる着色材で一時的に着色するなどすれば計測できます。
水面も3Dレーザースキャナーでは計測できません。水面は透明であり、かつ「静止」が難しく、わずかな振動でも水面に伝わって動いてしまいます。動いてしまうと、3Dレーザースキャナーから発射されるレーザーでの正確な計測が難しいです。
さらに水面は光を屈折・吸収する性質もあるため、発射されたレーザーが正確に戻りません。水面の場合、シートで覆うことも難しければ、一時的に色を付けたとしても上手く計測することが難しいです。例え容器に入れているとしても、水面部分は上記の理由から正確な計測が難しいです。
3Dレーザースキャナーで計測できないものはお伝えした通りですが、上記以外のものは3Dレーザースキャナーで計測が可能です。もう少し具体的に説明しますと、「3Dレーザースキャナーから発射されるレーザーが正しく反射される物」であれば計測可能です。
また、あくまでも表面でレーザーを反射させるので、通常では計測できないものでも、表面を覆うか着色するなどしてレーザーが反射できる状態とすることで計測が可能になります。
3Dレーザースキャナーは有用なものではありますが、計測できないものがあるのも事実です。これから3Dレーザースキャナーの導入を検討している方は、計測できるもの・できないものの特徴を把握しておきましょう。