3Dスキャナーは建築業界でもよく活用されています。工期が厳しく管理される建築業界では、スピーディに現況を把握できる3Dスキャナーは、工期短縮に寄与します。ここでは、建築業界で3Dスキャナーがどのように活用することができるのか、実際の活用事例も含めてご紹介します。3Dスキャナーを導入する際の参考にしてください。
歴史的建造物は、図面や記録が残っていないケースがほとんどです。残っていても、増築や改修を経て現況と異なっていることがあります。修復のためには、建物の現況把握が欠かせません。しかし、手作業で測定するのは正確性に不安があります。そこで活用されるようになってきたのが3Dスキャナーです。xyzの3次元座で点群データを取得するなどの活用方法があります。3Dスキャナーでの測量は、曲面や複雑な装飾なども正確に捉えることができ、手作業での測量と比べて精密かつ効率的です。取得したデータをデジタル保存することで、将来の研究や再建にも活用できます。
従来の手作業による測量では、測定が困難な場所があったり、測量漏れが発生しやすかったりと、測量作業に安定性がありませんでした。再調査が必要になることもあり、余計な時間もかかっていました。3Dスキャナーを使用することで、測量の難しい場所も含めて、正確なデータの取得が可能になります。計測漏れや手戻りのリスクも低減しますので、効率的に作業を進めることができます。機械的な測定による高精度な測量ができることはもちろん、取得したデータを専用ソフトウェアで処理すれば、実物に近い3Dモデルを作成でき、施工図の作成時間を大幅に短縮できます。
宮大工が伝統建築物の修復作業を行う際に、3Dスキャナーを活用している事例です。建築物を3Dスキャナーで測定し、得られた現況データを点群データで保存します。この現況点群保存図を設計図書として活用します。従来は、建物外部や内部の寸法を巻き尺で測り、柱や梁を数え、想像で補いながら実測図を作成していました。最短でも1週間かかっていた作業です。3Dスキャナーを導入したことで、経験に頼ることなく、機械的に精度の高い測量が可能となった上に、6~7時間で実測図が完成するようになりました。
ソニックシティホール棟の大規模改修工事において、らせん階段部分の形状を把握するために、3Dレーザースキャンを取り入れました。手作業での測量では難しい形状ですが、3Dスキャンならスピーディに測量できます。複雑な曲線で構成される空間形状ですが、半日で完了。作業に携わった人員は、わずか2名でした。施工図精度が向上し、同時に工事着工時期を前倒しできました。
建築業界では、BIM(Building Information Modeling)で3Dスキャナーがよく活用されています。BIMは、建築物を3Dモデル化して情報を管理するワークフローです。他にも現況測量や施工測量などで取り入れられています。3Dスキャナーを導入することで、正確な測量をスピーディに行うことができます。また、古い建造物なども3Dスキャナーでデータ化することで、研究や復旧に役立てることができます。
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